働きながら、親をみる―自分の人生をあきらめない介護
2015-06-26



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精神科医で老人医療の専門家でいらっしゃる和田秀樹先生の本をお手伝いしました。テーマは「介護」。日本はすでに超高齢社会(人口の21%以上が65歳以上の高齢者)ですが、2025年には団塊の世代が後期高齢者入りし、介護問題はますます大きくなっていくでしょう。そして統計によれば年間10万人以上もの人が介護のために離職しています。

仕事と介護の両立がそれだけ厳しいということですが、少子化が進み、労働人口が減る中、働き盛りの人々がキャリアを捨て、親の介護をせざるを得ない状況は、非常に残念なことです。一方で、親の老いから目をそらしたい、できれば先送りにしたいという気持ちが子ども側にあり、十分な準備ができていないのもまた事実ではないでしょうか。

私自身、介護保険の仕組みについて今まで何も知りませんでした。どういうサポートが受けられ、そういう手続きが必要で、費用がどのくらいかかるのか。そもそも介護保険とは40歳から終身、保険料を払い続ける(65歳以上は年金から差し引かれます)保険だということすら認識していなかったのです。

日本人は親の介護に関して「お上の世話になる」のをためらう傾向がありますが、健康保険と同様のシステムなので、必要な場合は積極的に活用すべきですよね。住宅リフォームの補助や介護機器のレンタルetc.も対象になっています。

家族だけの介護はストレスがたまりますが、プロに相談できればマンパワーも情報も格段に違ってきます。ただ、他の公的制度同様、介護保険もあくまで申請主義なので、介護する側が手続きしなければサポートは受けられません。制度の内容を理解しているかどうかで、精神的にも経済的にも負担がずいぶん変わってくると感じました。

先生のお話をうかがって、認知症についても理解が深まりました。胸を突かれたのが、「認知症になっても最後まで感情は残る」ということです。できないことが増えていっても、人としてのプライドはある。たとえば、身内に対しても丁寧な言葉使いをするのは失礼があってはいけないという気持ちからですし、攻撃的になったり、物がなくなったと騒ぐのも自分自身に対する不安の裏返しなのです。いちばんもどかしい思いをしているのは本人なのだと知るだけでも対応が変わってくる気がしました。

老人医療の現場でたくさんのケースを見てこられた和田先生ならではのノウハウがたくさん詰まった1冊。介護保険から施設の種類、認知症への対応、気になる費用の話までひととおりのことがわかる内容です。基本的に1項目が見開きで完結、気になる部分から目を通しやすい構成。電子書籍でもお読みいただけます。

●働きながら、親をみる―自分の人生をあきらめない介護
著者:和田秀樹
発売:PHP研究所
オンライン書店:アマゾン (電子版は

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