今回は昨年の修復後、世界初公開!となる「手紙を読む青衣の女」を始め、3作品が来日。本格的な修復が施されただけあって、「青衣の女」はラピスラズリを使ったフェルメールブルーと呼ばれる独得の青が美しく蘇り、手紙を握りしめて真剣に読む女性の姿がひときわ印象的でした。
当時は「手紙」が最先端のコミュニケーション・ツールだったんですよね。海外貿易がさかんな時代でもあり、身近な人の安否は手紙で知るしかなかった。差出人が返事を受け取るまでに2年もかかる…なんてケースもけして珍しくなかったそうです。スマホや携帯で瞬時に連絡が取れる現代となんという違いでしょうか。
個人的には初めて見たフェルメール作品である「手紙を書く女」(写真右)との再会が楽しみでした。上野の国立西洋美術館でこちらを見つめる彼女と目があい、神秘的なオーラに引き寄せられたのをはっきり覚えています。当時はいま以上に西洋絵画にまったく疎かったので、フェルメールの作品だと知ったのはずっと後のことでした。
今回もまた、3.11に近い時期なのが、なんだか不思議な巡り合わせです。しかも、東北地方での巡回が中止されたり、日本への作品の貸し出しに躊躇する海外の美術館が珍しくない中、この展覧会はまず京都で、次に被災地の宮城で開催され、東京にやってきました。三十数点しか残っていないフェルメールの作品が2年続けて見られること自体、まさにフェルメールから日本への「ラブレター」のように思える…というのは感傷的すぎるでしょうか。
そして、初夏にはフェルメールの代表作と言われる「真珠の首飾りの少女」が来日します。この作品も未見なので、すごく楽しみにしています♪
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